【上田市周辺】日本初にして最後か。アルコール度数15%のワインは八重原の気候風土がもたらした奇跡です。
日本のワインとしては前代未聞のアルコール度15%超え!今後、二度とできないかもしれない奇跡のワインが「496アルカンシェル2023」です。
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湯楽里館ワイン&ビアミュージアムにて
ぶどうの甘さとワインのアルコール度数は直結します。厚生労働省のホームページで、ワインの平均アルコール度数は12%となっています。
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「神の雫」作者のサインと掲載誌
欧米のワインと比べて日本ワインのアルコール度数は、一般的に低くなります。台風や秋雨などの影響で栽培中のぶどうが水分を多く含み、糖度が低くなるからです。
では、どうして「496アルカンシェル2023」はアルコール度15%超になったのでしょうか。造り手は東御市の「496ワイナリー/シクロヴィンヤード」です。
理由①例年にない昼夜の寒暖差が続いた2023年
アルコール度数の高いワインの産地として有名な米国のナパ・ヴァレーは、昼夜の気温差がとても大きい場所です。
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トランヴェールの表紙に描かれた八重原
2023年は9月に入っても連日、30度を超える厳しい残暑が続きましたね。その状況下、標高の高い八重原エリアでは夜間は涼しく感じる日も多く、ブドウの糖度が例年以上に高くなったわけです。
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水田は冠雪していてもぶどう畑に雪はありません(画像提供:496ワイナリー)
さらに同じ東御市内でも、千曲川の北岸は街全体のベースが緩やかな南西向きの傾斜地。対して南岸はベース自体が南東向き傾斜地なので、気温差がより大きいのです。
理由②緯度と畑の向き
ぶどうは強い西日に照らされると熱を帯びてしまい、品質低下を招きます。世界一のぶどう畑といわれる、フランス・ブルゴーニュの「黄金の丘」は、強い西日を受けない東向き傾斜地です。
ですがブルゴーニュと比べて東御市の緯度の場合、真東に向いた畑では日照量が不足するので、南東向きの傾斜地が最良と考えられます。
理由➂例年にない少雨だった2023年
ぶどうは水分が抑制されると膨張、希薄化せずに凝縮した果実となります。2023年の秋、八重原エリアは稀なほどの少雨で、シクロヴィンヤードでは随所にひび割れが発生したほどでした。
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画像提供:496ワイナリー(画像はイメージです)
八重原の大地は強い粘土質の土壌で、乾くと水を弾く性質があります。少量の降雨では表層を濡らすだけ。畑の土壌特性が糖度をさらに高めたのです。
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千曲川左岸と右岸の土壌
◆最初にして最後の可能性も
近年はゲリラ豪雨が多発するなど、日本の気候は多雨傾向が強まっていますよね。また温暖化によって、残暑が続いても夜間もあまり気温が下がらない日が今よりも増えると予想されています。
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湯楽里館ワイン&ビアミュージアムにて
夜の気温が下がらないことで、ぶどうが色づかない着色不良が近年すでに問題となっています。可能性はゼロではありませんが、2023年のような気象条件は二度とないかもしれないのです。
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湯楽里館ワイン&ビアミュージアムにて
◆2023ヴィンテージの発売予定
496アルカンシェル2023の発売予定は、以下の通りだそうです。
- パシュート アルカンシェル ソーヴィニヨン・ブラン2023(発売中)
- パシュート アルカンシェル シャルドネ 2023(2025年4月頃の発売予定)
- アマンダ アルカンシェル メルロ 2023(樽熟成中、発売未定)
- マディソン アルカンシェル ピノ・ノワール 2023(樽熟成中、発売未定)
◆ショップでの販売
「Pursuit Arc-en‐ciel 2023」は以下のショップでお買い求め可能だそうです。
- 湯楽里館ワイン&ビアミュージアム(東御市)
- 地酒屋 宮島(上田市真田町長)
- 酒舗 清水屋 佐久平店(佐久市長土呂)
また2025年2月16日(日)の昼12時から16時頃まで、496ワイナリーのショップに園主がいらっしゃいます。造り手とお話しされてみたい方は、この機会にぜひ。
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